原因別アナフィラキシー
|食物アレルギー
エビ、カニ
昭和大学 医学部 小児科学講座 教授 今井 孝成 先生
エビやカニなどの甲殻類が原因となる食物アレルギーは、乳幼児期は多くありませんが、学童期以降に増えてきます。
また、食物アレルギーの中の特殊なタイプである「食物依存性運動誘発アナフィラキシー」の原因としても、小麦に次いで甲殻類が多いとされており、注意が必要です。
小学生以上に増えてくる、エビ、カニなどの甲殻類アレルギー。
食物アレルギーは子どもに多いのが特徴ですが、鶏卵、牛乳、小麦の3大原因食物が年齢とともに食べられるようになり、減っていくのに対して、エビやカニなどの甲殻類が原因となる食物アレルギーは2、3歳以降に徐々に増え始めます。
学童期以降になると、甲殻類は小麦や果物と並んで、主要な原因食物となります。また、いったん発症すると、大人になっても耐性を獲得できる可能性が低い(食べられるようになりにくい)とされています。
エビやカニはアレルギー表示を必ず確認しましょう。
エビやカニも重症なアナフィラキシーを引き起こす可能性があり、平成20年6月に食品衛生法によって特定原材料としての表示が義務づけられました。誤食予防のために、必ず食品表示を確認しましょう。
しらすやちりめんじゃこには、小さなエビやカニが混入していることがあります。これらは加工の過程で取り除くことが難しく、通常はそのまま販売されています。また、かまぼこやちくわなど、魚のすり身を原材料としている場合も、その魚が餌としてエビを食べていることがあります。これらの食品には、「当製品にはエビやカニが含まれています」「当製品で使用している(原材料)はエビを食べています」などと記載されることがあります。重症な甲殻類アレルギーの場合は、これら表示の食品も除去する必要がある場合があるので、医師の指示を確認してください。
エビとカニは関連性が高くセットで除去されますが、一概に、甲殻類、軟体類、貝類など魚介類をひとくくりで除去する必要ありません。
エビアレルギーの主な原因となるのは「トロポミオシン」というタンパク質ですが、このトロポミオシンはカニにも含まれ、互いのタンパク質構造が非常によく似ています。このため、エビアレルギーの場合は高い確率でカニにもアレルギー反応が起こり、除去をおこなう場合、エビとカニはセットで考えるのが一般的です。
このトロポミオシンは、タコやイカなどの軟体類、貝類などにも含まれています。エビやカニほどの類似性はありませんが、注意が必要です。また、魚や魚卵のアレルゲン物質はまったく別のタンパク質であるため、甲殻類を除去しても、他の魚介類はまた別に診断を進める必要があります。