原因別アナフィラキシー
|食物アレルギー
|代表的な食物アレルゲン
近年の健康ブームなどから消費量が増えており、食物アレルギーの
原因として増加傾向にあります。
監修
昭和医科大学 医学部 小児科学講座
教授 今井 孝成 先生
近年、日本において木の実類は、食物アレルギーの原因として急激な増加傾向にあります。特に1番多いクルミや2番目に
多いカシューナッツが増加しています1)。
また、幼児期に即時型症状で発症することが多いアレルゲンで、アナフィラキシーショックの原因食物としてもあげられていることから、十分な注意が必要です1)。
木の実類アレルギーの予後に関する報告は多くはありませんが、耐性を獲得しにくい(治りにくい)といわれています1)。
木の実はアレルゲンとして一括りに除去する必要はありませんが、2つだけペアがあります。クルミとペカン(ピーカン)
およびカシューナッツとピスタチオはセットで除去する必要があります。
またピーナッツはそもそも豆類であり、木の実ではありません。誤食をすると、アナフィラキシーになるリスクが他の食品に比べ高いので、十分な注意と対策が必要です。
Angiosperum Phylogeny Group(APG)IV分類による
種の名称は、Wikimedia Commonsなどの情報を参考にした
*1:english walnut、persian walnutともいう。
*2:マカダミアの分類は、Wikimedia Commonsの情報による
海老澤元宏, 他監修. 一般社団法人日本小児アレルギー学会食物アレルギー委員会. 食物アレルギー診療ガイドライン2021. 2021; 29. 表3-2より作図
参照)海老澤元宏, 他監修. 一般社団法人日本小児アレルギー学会食物アレルギー委員会. 食物アレルギー診療ガイドライン2021. 2021; 169-171.
木の実類はお菓子やドレッシングなど多くの食品に利用されており、見た目だけでは含まれているかどうかわかりにくいことが多いです。
そのため、原材料を確認することが必要です。クルミは特定原材料に指定されており、包装された加工食品は
原材料表示で有無を確認できます。
一方で、カシューナッツとアーモンドは表示義務はなく、表示推奨品目です2)。消費者庁は症例数の増加を受け、2025年度中にカシューナッツのアレルギー表示を義務化し、ピスタチオを表示推奨品目に加える
方針を示しています3)。
表示推奨品目は、店頭販売や外食では表示義務がありません。他の木の実類に関してはアレルギー
表示の対象外です。
これらの食品や商品を購入する場合は、原材料についてお店の人に聞いて確認しましょう。
参考文献
本サイトに掲載された健康情報は啓発を目的としたものであり医師等のヘルスケアプロバイダーに対する相談に取って代わるものではありません。
患者さんの治療に関しては、個々の特性を考慮し医師等のヘルスケアプロバイダーと相談の上決定すべきものです。