原因別アナフィラキシー
|蜂毒アレルギー

蜂毒アレルギーって
なあに?

獨協医科大学埼玉医療センター 呼吸器・アレルギー内科 准教授 平田 博国 先生

1回の蜂刺されでも、アナフィラキシーを起こす危険がある蜂毒アレルギー。リスクが高い季節や場所、職業は?

蜂刺されによるアレルギーとは

蜂に刺されたとき、かゆみや発赤(ほっせき)のような皮膚炎、または嘔吐や寒気などの症状を起こすことがあります。蜂毒の中にはアレルギー反応を起こす成分(アレルゲン)やヒスタミンが含まれているため、場合によっては重症のアナフィラキシーに至る危険性があります。

厚生労働省の調査によると、日本では蜂刺されによるアナフィラキシーショックで年間20人ほどが亡くなっており、その多くは40歳以上の男性でした1)

1)厚生労働省:人口動態調査

蜂刺されによるアナフィラキシーで亡くなった人数

 
平成29年度(2017)
平成28年度(2016)
平成27年度(2015)
平成26年度(2014)
平成25年度(2013)
  死亡人数
平成29年度(2017) 13 9 4
平成28年度(2016) 19 16 3
平成27年度(2015) 23 20 3
平成26年度(2014) 14 9 5
平成25年度(2013) 24 19 5

蜂刺されは特に夏場に多い

蜂刺され患者数の月別推移

蜂の被害は夏から秋にかけて多く、蜂刺されによる患者数は8月がピークとなります。

安藤 幸穂:”ハチ刺症患者の治療について” 蜂刺されの予防と治療
林野庁管理部厚生課監修/国有林野事業安全管理研究会編集 林業・木材製造業労働災害防止協会:174, 1996より改変

原因となるハチについて

蜂は巣を守るために外敵に向かっていく習性があります。人を刺す習性があるのは、スズメバチ、アシナガバチ、ミツバチの3種類です。営林署や林業、農業、ゴルフ場などにおいてはスズメバチやアシナガバチ、養蜂業やイチゴ農家ではミツバチに刺されるケースが多いといわれています。

アナフィラキシーを引き起こす代表的な蜂

写真提供(スズメバチ):名古屋市生活衛生センター
写真提供(アシナガバチ):三重大学生物資源学部昆虫学研究室

山や森、農場などは要注意

蜂毒アレルギーの患者さんの約50%は蜂刺されのリスクが高い職業についています。林野事業関係者、電気設備業者、ゴルフ場、養蜂業、農業などの職種に多く、蜂との接触に対して注意喚起が呼びかけられています。また、職場に限らず、スポーツやレジャーなどで山間部に出かける場合でも、蜂毒によるアナフィラキシーのリスクは高くなります。