原因別アナフィラキシー
アナフィラキシーの原因

昭和大学 医学部 小児科学講座 教授 今井 孝成 先生

原因は日常生活のさまざまなシーンに

アナフィラキシーの原因は食べ物がもっとも多く、続いて蜂などの昆虫、薬物となっています。

食べ物

鶏卵、牛乳、小麦、そば、ピーナッツなど、特定の食べ物を食べたときに起こります。子どもから大人まで幅広い世代でみられますが、特に乳幼児に多くみられます。

また、食べただけでは症状が出ないのに、食べて4時間以内に運動が組み合わさると症状が誘発される特殊なタイプに、「食物依存性運動誘発アナフィラキシー」もあります。

蜂毒

スズメバチ、アシナガバチなどの蜂の毒液によるアレルギー反応。日本では、蜂刺されによるアナフィラキシーショックで年間20人ほどが亡くなっています。

薬物

原因となる薬物は、ペニシリンなどの抗菌薬、アスピリンなどの解熱鎮痛剤のほか、検査に使われる造影剤や局所麻酔薬、輸血なども原因となりやすい傾向があります。

ラテックス(天然ゴム)

ラテックスはゴムノキの樹液に含まれる成分です。このため、天然ゴム製品に触れてアナフィラキシー反応が起こる場合があります。ラテックスは医療用手袋やカテーテルなどに使用されている他、風船や避妊具、ゴム靴、ゴム草履などの日用品に使われている場合もあります。

また、ラテックスアレルギーがあると、バナナ、アボカド、キウイなどにもアレルギーを起こす「ラテックス・フルーツ症候群」が知られています。

その他

まれですが、クラゲなどの海洋生物による刺傷(ししょう)、ハムスター、ヘビ、ダニ、アリなどによる咬傷(こうしょう)、物理的刺激によるアナフィラキシーの報告もあります。また、原因の検査をしても特定できず、原因不明となる場合も少なくありません。