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学校・保育園の先生・救急救命士の方へ

昭和大学 医学部 小児科学講座 教授 今井 孝成 先生

食物アレルギーをもつ子どもが年々増えている中で、教育現場における食物アレルギー反応やアナフィラキシーの予防や対応についての知識や理解がますます重要になってきています。
子どもが安全に過ごせる環境づくりに役立つガイドラインや講習会などをご紹介します。

食物アレルギーを持つ子どもが増加しています

近年、食物アレルギーをはじめ、喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患をもつ子どもが年々増えています。特に、食物アレルギーについては、保育園児4.9%1)、小学生2.8%、中学生2.6%、高校生1.9%2)と、保育所における率が高いことが発表されています。

食物アレルギーは特に乳児に多く、幼児期以降、食物アレルギー児の年齢別割合が低下していくという調査結果があります。

1)厚生労働省:保育所におけるアレルギー対応ガイドライン:4, 2011
2)アレルギー疾患に関する調査研究委員会:アレルギー疾患に関する調査研究報告書:47, 2007

食物アレルギー児の年齢別割合

1歳の9%以上をピークに減少していき5歳では2%を超える程度

厚生労働省:保育所におけるアレルギー対応ガイドライン:4, 2011より改変

アレルギー疾患に関するガイドライン(指針)が発表されています

アレルギーの症状や原因となるアレルゲンは多岐にわたります。アレルギーの中でも、特に食物アレルギーは専門性が高く、近年その考え方や治療法が急速に発達しています。厚生労働省や文部科学省では、子どもたちが安心して園や学校生活を送れるよう、ガイドライン(指針)の制定を進めてきました。

平成20年には財団法人日本学校保健会により「学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン」が、平成23年には厚生労働省により「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」がまとめられました。

これらのガイドラインにもとづき、各地方自治体教育委員会や各教育機関が、給食や各種活動において、食物アレルギーへの対応を具体的に定め、さまざまな取り組みをおこなっています。

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各地で食物アレルギーに関する講習会が開催されています

アレルギー疾患をもつ子どもの中には、アナフィラキシーにそなえてアドレナリンの自己注射薬が処方されている場合があります。自己注射薬は基本的に本人が注射する薬剤ですが、急激な血圧低下や意識障害をともなうアナフィラキシーショックは命にかかわるため、本人が注射できない状態にあった時、人命救助の目的で救急救命士や教職員が使用してもよいとされています。

食物アレルギーやガイドライン、自己注射薬の投与などについては、厚生労働省や文部科学省、環境再生保全機構、学会などが主催する各種講習会で学ぶことができます。

医師の診断結果にもとづいた対応を

食物アレルギーは命にかかわることがあるため、医師の診断のもと、適切な対応が求められています。

食物アレルギーがある子どもについて、保護者が管理を希望する場合は、保護者に「学校生活管理指導表」や「保育所におけるアレルギー疾患生活管理指導表」を提出してもらい、アレルゲンや留意点、処方薬の有無などを把握するようにします。これらの指導表は、医師が記入することになっています。

食物アレルギーは検査で陽性でも食べられるケースがあり、不要な除去は栄養バランスを崩す原因となります。また、本来は除去の必要があるのに食べさせてしまうことはアナフィラキシーのリスクにつながります。

事故を防ぎ、子どもの健康を守るためには、除去食や解除の対応は、保護者からの口頭による申請ではなく、必ず医師の診断にもとづいておこなうことが大切です。