アレルギー/アナフィラキシーに関連してよくお寄せいただく質問と回答をまとめました。
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血液検査で、特定の食物に対する IgE 抗体が「陽性」となっても、それだけで「食物アレルギー」が診断できるわけではありません。IgE 抗体が「陽性」は、「感作」といってアレルギーが起こる可能性があることを示すまでです。感作があった食物を食べて症状が出なければ、アレルギーとは診断されず、除去の必要も当然ありません。食物アレルギーの管理では、正しい診断にもとづく必要最小限の原因食物の除去が原則です。自己判断での除去は、栄養不足や生活の質の低下につながることもあるため、必ず医師と相談しましょう。
※特異的 IgE 抗体:免疫グロブリンと呼ばれるタンパク質の一種。即時型アレルギー反応にかかわります。特異的とは、特定の物質にのみ反応することを示します。
食物アレルギーは特定の食物が原因でアレルギー反応が起こり、じんましんや呼吸困難などのさまざまな症状があらわれることをいいます。このため、アレルギー反応を介さず、食物によって何らかの症状が出てくるものは、食物アレルギーと分けて考えます。例えば、牛乳を飲んでおなかがゴロゴロしたり下痢をしたりする乳糖不耐症※1、食物にとりついた細菌・ウイルス・寄生虫による食中毒、食物中に含まれる毒物(毒キノコやフグ毒など)による食中毒、もともと食物中に含まれる化学物質(ヒスタミンなど)による食物不耐症も食物アレルギーではありません。食物を食べて何らかの症状が出たからといって、自己判断で必要のない食物除去※2 を行うことなく、医師の正しい診断を受けましょう。
※1 乳糖不耐症:体質的に乳糖を消化する力の弱いもしくはない病態
※2 食物除去:アレルギーの原因となる食べ物を食べないようにすること
食物アレルギーの多くは食物の成分として含まれる一部の「タンパク質」が原因の免疫反応です。一方、食中毒は、食物に付着したウイルスや細菌や、毒キノコやフグ毒などにより生じる病気であり、免疫は関わりません。
離乳食開始前に顔からはじまる湿疹が、皮膚の保湿や適切な治療をおこなっても改善しない場合は、アトピー性皮膚炎の可能性があります。このアトピー性皮膚炎の原因として食物が関与していることがあり、これを食物アレルギーの関与する乳児アトピー性皮膚炎と称します。ただし、こうした乳児の湿疹のすべてがアトピー性皮膚炎であったり、食物が関係しているとは限りませんので、医師に相談しましょう。
鶏卵・牛乳・小麦アレルギー以外は治りにくいとされています。鶏卵・牛乳・小麦アレルギーも、多くは就学前までに治ります。治る理由は、成長する過程で消化吸収機能が発達することがひとつの要因と考えられています。早めに医師に相談して適切な指導を受けることが大切です。
母乳がお子さんの食物アレルギーの発症に与える影響に関する研究はさまざまありますが、世界各国の食物アレルギーの治療指針において、発症を予防する目的での妊娠期や授乳中の母親の食物制限や除去は推奨されていません。むしろ、偏った食生活は母親や子どもの栄養不足を引き起こすリスクもあります。
食物アレルギーの原因は食物の「タンパク質」です。このタンパク質は一般的に、胃液や腸液などの消化液に消化されにくく、加熱しても簡単に構造が壊れません。このため、原因食物を調理したり発酵させたりしても、食べられるようには基本的にはなりません。正しい知識を持って対策しましょう。しかし、一部の食物には、加熱や発酵によって原因タンパク質の構造が変化し、アレルギーを起こす力(アレルゲン性)が低下します。なかでも代表的なのは鶏卵です。卵白の主要なアレルゲンタンパク質であるオボアルブミンは、加熱で容易に変性します。このため、一部の鶏卵アレルギー患者さんの中には、生卵や半熟卵は食べられなくても、加熱卵は食べられる場合があります。また、小麦や大豆アレルギーでも、しょうゆやみそなどの調味料は食べられるという例も少なくありません。ただし、これらはあくまで一部の例であり、すべての方に当てはまるわけではありません。自己判断で摂取せず、必ず医師の指導のもとで確認するようにしましょう。
レストランなどの外食では、ひとつの調理器具(鍋、包丁など)で複数の食材を調理するため、原因食物を含まない料理を注文しても、原因食物が混入※してくる可能性があります。うどんとそばが同じ釜でゆでられている場合、ゆでたお湯を介してうどんにそばが混入し、重症なそばアレルギー患者だと症状があらわれる可能性があります。
正しい診断をうけることが必須です。そのうえで、必要最小限の除去と誤食予防、緊急時対応に関する知識を身に着けましょう。そのうえで、除去しながらも楽しい食生活を送ることができるように頑張っていきましょう。
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患者さんの治療に関しては、個々の特性を考慮し医師等のヘルスケアプロバイダーと相談の上決定すべきものです。