検査と治療
アナフィラキシーの治療法は症状によってことなります。
アナフィラキシーに対する対症療法や根本的治療について解説
します。
監修
昭和医科大学 医学部 小児科学講座
教授 今井 孝成 先生
アナフィラキシーが起こった場合、最初に使用するのはアドレナリンです。自己投与可能なアドレナリン製剤(アナフィラキシー補助治療剤)を処方されている場合は、病院を受診する前に、躊躇せずに自己投与しましょう※。特に、以下のアナフィラキシー症状がひとつでも見られた場合には、速やかに自己投与が
求められます。
抗ヒスタミン薬や気管支拡張薬、ステロイド薬は皮膚や呼吸器系の症状を緩和させたり、アナフィラキシーを予防したりするとされていますが、発症している
アナフィラキシーに対する効果は認められていません。
また、自己投与可能なアドレナリン製剤以外の薬はアナフィラキシーへの保険適用はありません。
※アドレナリン製剤の処方には専門の医師による診断が必要です。
※自己投与可能なアドレナリン製剤(アナフィラキシー補助治療剤)は、アナフィラキシー症状の進行を抑え、ショックを緩和する薬です。
| 消化器の症状 |
|
|---|---|
| 呼吸器の症状 |
|
| 全身の症状 |
|
一般社団法人日本小児アレルギー学会
アナフィラキシー対応ワーキンググループ:
一般向け自己投与可能なアドレナリン製剤
(日本小児アレルギー学会).2013年.
https://www.jspaci.jp/gcontents/epipen/
(2025年7月11日参照)より一部改変
過去にアナフィラキシーショックを起こしたことがある、もしくは、起こす危険性があると思われる場合は、緊急時に
そなえて自己投与可能なアドレナリン製剤を常に携帯しておくとよいでしょう。
また、日頃から万が一にそなえて、適切な対処ができるように練習しておきましょう。
アナフィラキシーを誘発しうるアレルギー物質(アレルゲン)を、徐々に身体に取り込ませていき、アレルギー反応を緩和
する治療方法です。アレルゲンの投与経路は、舌下、皮下、経口などがあります。
現在保険診療で行われているアレルゲン
免疫療法は、ダニ抗原による皮下免疫療法、舌下免疫療法、スギ花粉抗原による舌下免疫療法があり、気管支喘息や
アレルギー性鼻炎に対して行われます。
ハチ毒アレルギーに対するアレルゲン免疫療法や、食物アレルギーに対する経口免疫療法、薬剤過敏症に対する免疫療法は
保険診療ではなく、研究的に実施されます。
いずれにしても、この治療はアナフィラキシーなどの症状を誘発する危険性があるので、一部の専門の医療機関において実施されています。
経口免疫療法は、アレルゲン免疫療法の一つであり、食物アレルギー患者を対象に研究的に行われます。
まず食物経口負荷
試験によって症状が誘発される量を調べ、その量を基準にして、専門の医師の管理のもとで段階的に食べる量を増やし
ながら、最終的に耐性獲得(自由に食べる)を目指します。
ただし、アナフィラキシーを含めた重篤な症状があらわれる
危険性があるため、専門の医療機関のみで厳重に管理されて実施されています。
対象者は、自然に耐性を獲得しにくい即時型食物アレルギーの患者さんです。
経口免疫療法は、重い食物アレルギー患者さんにとって画期的な治療法ですが、アナフィラキシーショックや予期せぬ副作用のリスクがあります。
また、日々
アレルゲンを摂取することは、患者さんとその家族に大きなストレスを与えます。
こうしたことから、この治療法は、専門の医師によって適切に実施される
べきであり、ガイドライン(日本小児アレルギー学会)においても専門の医師の監督下で行うことが推奨されています。
自宅での自己判断による実施は避け、
専門の医師の評価と十分なインフォームド・コンセント※を得た上で、綿密に
コミュニケーションを取りながら進めるべきです。
※インフォームド・コンセント:医師が患者さんに対して、受ける治療内容の方法や意味、効果、危険性、その後の予想や治療にかかる費用などについて、十分にかつ、わかりやすく説明をし、そのうえで治療の同意を得ることをいいます。
参考文献
本サイトに掲載された健康情報は啓発を目的としたものであり医師等のヘルスケアプロバイダーに対する相談に取って代わるものではありません。
患者さんの治療に関しては、個々の特性を考慮し医師等のヘルスケアプロバイダーと相談の上決定すべきものです。