原因別アナフィラキシー
|食物アレルギー

食物アレルギーへの対策

昭和大学 医学部 小児科学講座 教授 今井 孝成 先生

「アレルゲンを知る」「アレルゲンにそなえる」「アナフィラキシー症状の出現にそなえる」の3ステップで日頃からしっかり対策しましょう。

※アレルゲン:アレルギーを引き起こす原因となる物質。抗原。

ステップ1  アレルゲンを知る

患者さんによって、アレルギーを引き起こす原因(アレルゲン)はさまざまです。
アレルゲンを知ることが対策のスタートです。

「もしかして、食物アレルギー?」と思ったら

食事の後に、くりかえし「おかしいな?」と感じたら、まずは医師に相談を。原因食物(アレルゲン)をきちんと診断してもらいましょう。 病院では、患者さんの食習慣や食物アレルギーが出たときの状況、家族歴などについてくわしく問診をとります。食物アレルギーが疑われたら、いつ、何を、どのくらい食べて、どれくらい後に、どのような症状が出たかがポイントになります。「食物日誌」に記録しておくと、役立ちます。

食物日誌ダウンロード

どんな検査があるの?

必要に応じて、血液検査や食物経口負荷試験でアレルゲンを特定していきます。

  • 血液検査
  • 皮膚テスト(プリックテスト)
  • 食物除去試験
  • 食物経口負荷試験

検査の詳細はアナフィラキシー対策「検査と治療法」をご参照ください。

検査と治療法へ

ステップ2  アレルゲンにそなえる

食物アレルギーの患者さんには、ときに命を脅かすアナフィラキシーの症状が出ることもあります。もしもの時にあわてないよう、日ごろからしっかりと対策しましょう。

アレルゲンの除去は必要最小限にしましょう

アレルゲンがはっきりしたら、医師の指導のもと、原因食物を食べない「食物除去」をおこないます。ただし、栄養不足で健康や成長に影響が出ないよう、専門の医師としっかり相談し、除去は必要最小限にとどめることが大切。特に小さいお子さんには注意が必要です。

加工食品のアレルギー表示を確認しましょう

アナフィラキシーを引き起こすリスクが高い「特定原材料」の表示が食品衛生法で定められています。特定原材料とは、卵、乳、小麦、えび、かに、そば、落花生、くるみ(※)8品目のことを指し、極めて少量でも容器包装※された加工食品に入っていれば、原材料表示されます。また、特定原材料に準ずるもの20品目については、表示が奨励されています。(表示の義務はありません)

※くるみの表示については、2025年3月31日までの経過措置期間(事業者が表示の切替えを行う期間)が設けられています。

消費者庁:アレルギー物質を含む食品に関する表示指導要領より作図

※表示は箱や袋で包装されている加工食品や、缶詰めやビン詰めなどのみのため、デパートやスーパーでの量り売りのお惣菜、その場で包装するパンやケーキ、コンビニエンスストアの店内で調理されるおでん、飲食店のメニューなどは対象外となります。アレルゲンが材料に含まれていないか、そのつど確認が必要です。

加工食品に含まれるアレルギー表示対象品目

表示が義務付けられている8品目

卵 乳 小麦 えび

かに そば 落花生 くるみ

表示が奨励されている20品目

アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン

消費者庁:アレルギー物質を含む食品に関する表示指導要領より作図
※表示は箱や袋で包装されている加工食品や、缶詰めやビン詰めなどのみのため、デパートやスーパーでの量り売りのお惣菜、その場で包装するパンやケーキ、コンビニエンスストアの店内で調理されるおでん、飲食店のメニューなどは対象外となります。アレルゲンが材料に含まれていないか、そのつど確認が必要です。

代表的な食物アレルゲンへ

ステップ3 アナフィラキシー症状の出現にそなえる

アドレナリン自己注射薬を携帯しましょう

過去に強いアナフィラキシーの経験があったり、その危険があると思われたりする場合は、アドレナリンを自分で注射する自己注射薬(アナフィラキシー補助治療剤)を常に携帯しておくとよいでしょう。自己注射薬は、患者さんの状況に応じて、医師が必要だと判断した場合に処方されます。2011年9月に保険適用となり、一部負担で購入できるようになりました。

検査と治療「治療」ページへ