原因別アナフィラキシー
|食物アレルギー

食物アレルギーって
なあに?

昭和大学 医学部 小児科学講座 教授 今井 孝成 先生

食物アレルギーはなぜ起こる?

私たちの体には、ウイルスや細菌などの有害なものが入ってきたときに、これらを攻撃して体を守ろうとする働きがあります(免疫反応)。ところが、この働きが、ある特定の物質に対して過剰に反応してしまうのがアレルギー反応です。食物アレルギーの場合、食べ物に含まれる主にタンパク質が異物(アレルゲン)と認識されて症状が引き起こされます。

食物アレルギーと間違えやすい病気

牛乳を飲んでおなかがゴロゴロしたり下痢をしたりするのは、牛乳に含まれる乳糖が分解できないために起きる“乳糖不耐症”というもので、食物アレルギーとは分けて考える必要があります。また、細菌やウイルスなどの病原微生物感染による急性胃腸炎や、毒キノコやフグなどの毒性成分による中毒症状も食物アレルギーには含まれません。

食べ物を食べて何らかの症状が出たからといって食物アレルギーだと自己判断することは、判断を誤る可能性があり、危険です。

子どもに多い食物アレルギー

食物アレルギーは子どもに多くみられるのが特徴で、6歳以下の乳幼児が患者数の80%近くを占め、1歳に満たないお子さんでは10~20人にひとりが発症しています。

子どもに食物アレルギーが多いのは、成長段階で消化機能が未熟で、アレルゲンであるタンパク質を小さく分解(消化)することができないのがひとつの要因と考えられています。そのため、成長にともなって消化吸収機能が発達してくると、原因食物に対して耐性(食べられるようになること)がつく可能性が高いのです。

しかし、中には大人になっても症状が続くものもあり、幼児期後半以降(成人も含む)に発症した食物アレルギーは治りにくいとされています。

食物アレルギーは増えています

東京都の3歳児検診の調査によると、食物アレルギーの子どもの患者数は毎年増えてきています。

食物アレルギーの罹患率(東京都3歳児健康診査)

平成11年:症状あり9.4%、診断あり7.1%。平成16年:症状あり15.6%、診断あり8.5%。平成21年:症状あり21.6%、診断あり14.4%。平成26年:症状あり21.0%、診断あり16.7%。

【調査概要】
調査対象:平成26年10月に東京都内区市町村で実施した3歳児健康診査の受診者およびその保護者3,435名(回収率41.0%)
調査方法:区市町村に協力を依頼し、3歳児健康診査の会場で無記名による自記式調査票を保護者8,383名に配布し、郵送にて回収を行った。
なお、基本属性、アレルギー疾患の状況、通所(園)状況、アレルギー疾患対策に関する要望を調査項目とした。

東京都健康安全研究センター:「アレルギー疾患に関する3歳児全都調査(平成26年度)報告書」平成27年3月 参照 より作図
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