原因別アナフィラキシー
|食物アレルギー
鶏卵
昭和大学 医学部 小児科学講座 教授 今井 孝成 先生
鶏卵は私たちのくらしの中でとても便利な食材。アレルギーのために鶏卵が使用できないことで、献立の不自由さが増えてしまいます。食物アレルギーの原因となる食べ物「第1位」の鶏卵について、どのようなポイントに気をつければよいでしょうか。
鶏卵アレルギーだからといって、鶏肉まで食べられないというわけではありません。
同じ「卵」とつきますが、魚卵アレルギーとも異なります。
鶏卵の主要タンパク質と、鶏肉や、イクラなどの魚卵に含まれるタンパク質は別のものです。そのため、鶏卵アレルギーだからといって、不必要にセットで除去する必要はありません。
また、これと同じく、牛乳アレルギーだからといって牛肉をセットで除去する必要もありません。
アレルゲンの除去は、専門の医師としっかり相談し、必要最小限にとどめることが大切です。
鶏卵が食べられなくても、
他の食品を組み合わせることで必要なタンパク質をとることができます。
鶏卵はタンパク質が豊富で栄養価の高い食品ですが、鶏卵にしか含まれない、お子さんの成長に不可欠な栄養素はありません。タンパク質については、肉や魚、大豆製品などでバランスに気をつけて食生活を送れば、お子さんの栄養面や成長面に不安を感じなくても大丈夫です。
鶏卵は加熱することで、アレルゲンが弱くなります。
ただし、加熱した鶏卵が食べられても、生卵や半熟卵には要注意!
鶏卵のアレルゲンの多くは、卵白に含まれる「オボアルブミン」と「オボムコイド」というタンパク質です。このうちオボアルブミンは、加熱するとタンパク質の構造が変化してアレルゲンではなくなります。その結果、鶏卵アレルギーでも主にオボアルブミンのアレルギーの場合、加熱をすれば鶏卵が食べられるということがあります。
ただし、加熱した鶏卵で症状が出なくても、半熟卵や生卵ではオボアルブミンの性質の変化が十分ではないため、食べて症状が出ることはあります。マヨネーズ、カスタードクリーム、アイスクリーム、マシュマロなどに使われている鶏卵は十分に加熱されていないので、加熱鶏卵が食べられるようになっても気をつける必要があります。
給食をはじめ、多くの加工食品に含まれている「鶏卵」。
アレルギー表示を必ず確認しましょう。
鶏卵はさまざまな用途に使われる便利な食材です。多くの加工食品に含まれますが、特定原材料として表示が義務づけられている食品ですので、鶏卵アレルギーの誤食予防には、必ず食品表示を確認しましょう。
その他にも、卵白に含まれる「リゾチーム」というタンパク質もアレルゲンとなることが知られています。リゾチームは市販の総合感冒薬などにも配合されているため、購入するときは必ず薬剤師に相談しましょう。