原因別アナフィラキシー
|食物アレルギー
|代表的な食物アレルゲン
監修
昭和医科大学 医学部 小児科学講座
教授 今井 孝成 先生
即時型食物アレルギーの原因として、鶏卵・
クルミに続いて3番目に多いのが牛乳・乳製品です1)。特に乳児では2番目に多い原因食物です。摂取機会の多い牛乳、そして乳製品について、どのようなポイントに気をつければよいでしょうか。
牛乳のタンパク質は「カゼイン」と「乳清タンパク質」(ホエイ)に分類されます。
| タンパク質 |
|---|
| カゼイン |
| 乳清タンパク質 |
| タンパク質 | 含有量 | アレルゲン性 | |
|---|---|---|---|
| カゼイン | 80% | +++ | |
| 乳清タンパク質 | α-ラクトアルブミン | 4% | + |
| β-ラクトグロブリン | 10% | ++ | |
| 血清アルブミン | 1% | + | |
| 免疫グロブリン | 2% | + | |
牛乳アレルギーの多くは「カゼイン」が原因です。カゼインは加熱してもタンパク質の構造はほとんど変化せず、アレルギーの起こしやすさは変わりません。
また発酵しても分解されにくいため、ヨーグルトやチーズなどの加工食品も同じように注意が必要です。
牛乳を小麦粉と混ぜて高温で加熱するパンやマフィンは、アレルギーを起こす力がやや弱くなります。
しかし、重症な場合は加熱調理をしても症状が起こることがあるため、食べられる範囲は医師の指示に従いましょう。
牛乳は豊富なカルシウムを含むため、アレルギーがあるとカルシウムが不足します。このため、牛乳以外のカルシウムが豊富な食品で補いましょう。
カルシウムの豊富な食品には、牛乳アレルギー用粉ミルク、大豆製品があります。煮干しなどの小魚類や青菜類(小松菜など)、海藻などにも多く含まれますが、一度に大量に摂取できないので、カルシウム補給には補助的に
用います。
また、カルシウムの吸収にはビタミンDが必要なので、カルシウムとビタミンDを同時に摂取することが推奨されています。
牛乳は特定原材料として加工食品のアレルギー表示が義務づけられているので、表示を確認することで誤食を防ぐことができます。 しかし、いくつか注意点があります。たとえば「乳化剤」「乳酸カルシウム」「乳酸菌」などはその名称から、乳製品と誤解されますが、牛乳とは関係ありません。一方、「全粉乳」「脱脂粉乳」「練乳」「乳酸菌飲料」「はっ酵乳」などの加工食品には牛乳が含まれるため、牛乳アレルギーの患者さんは食べられません。
参考文献
本サイトに掲載された健康情報は啓発を目的としたものであり医師等のヘルスケアプロバイダーに対する相談に取って代わるものではありません。
患者さんの治療に関しては、個々の特性を考慮し医師等のヘルスケアプロバイダーと相談の上決定すべきものです。