原因別アナフィラキシー
|食物アレルギー

ピーナッツ

昭和大学 医学部 小児科学講座 教授 今井 孝成 先生

米国ではピーナッツ(落花生)は、鶏卵、牛乳と並ぶ3大アレルゲンのひとつとされます。そばアレルギーと同様に、微量でもアナフィラキシーを引き起こしやすいアレルゲンなので、注意が必要です。

ピーナッツは重篤なアレルギーを引き起こしやすい食べ物。

ピーナッツアレルギーとそばアレルギーはアナフィラキシーショックなどの重篤な症状を起こす傾向が高く※1、命にかかわる場合もあります。注意が必要な食品として、加工食品中においてアレルギー表示も義務づけられています。

また、ピーナッツは高熱処理することでアレルゲンが強まります。中国ではピーナッツの消費量が多いにもかかわらず、米国に比べるとピーナッツアレルギーが少ないといわれます。これは、中国ではピーナッツをフライやボイルして食べることが多い一方、米国では高温でロースト(焙煎)したピーナッツを食べることが多いといった、調理方法の違い※2が理由として考えられています(ただし、加熱による抗原性の増加は、ピーナッツなど特有の食品だけにみられます)1)

※1 鶏卵や牛乳など他の食物によるアレルギーが重篤な症状を起こさないというわけではありません。
※2ボイル(約100℃)、フライ(約120℃)、ロースト(約170℃)

ピーナッツアレルギーでも、必ずしも、木の実類や種実類までまとめて除去する必要はありません。

「ナッツ」という名前がついているのでまぎらわしいですが、ピーナッツは豆類であり、アーモンド、クルミ、カシューナッツ、くりなどのナッツ(木の実)類ではありません。そのため、ピーナッツにアレルギーがあっても、木の実類や種実類(ごま、松の実、ひまわりの種、マスタードなど)をすべて除去する必要はありません。また、ピーナッツ以外の他の豆類をまとめて除去する必要もありません。除去すべき食物を必要最小限にとどめるよう、医師にしっかり確認してもらいましょう。

お菓子などいろいろな食品に使われるピーナッツ。必ず原材料を確認しましょう。

近年日本でもピーナッツアレルギーの子どもが増えています。ピーナッツバターや、チョコレートなどのお菓子に入っている場合はわかりやすいのですが、その他にもカレールウや調味料などにも使われているため、必ず原材料表示の確認をしましょう。アレルギー表示では、「落花生」と書かれることもあります。
加工食品を購入する場合は、原材料をよくチェックするとともに、コンタミネーション※がないかを確認することも大切です。

※コンタミネーション:他の食材と同じ調理器具を使う、あるいは、工場の製造ラインが共通であることでアレルゲン食材が混入すること。

1) Beyer, K. et al.: J Allergy Clin Immunol 107 (6): 1077,2001