原因別アナフィラキシー
薬物アレルギー
帝京大学ちば総合医療センター 第三内科 教授 山口 正雄 先生
原因となる薬物は、ペニシリンなどの抗菌薬、アスピリンなどの解熱鎮痛剤のほか、検査に使われる造影剤や局所麻酔薬、輸血なども原因となりやすい傾向があります。原因や症状を知り、しっかりと対策をしましょう。
薬物アレルギーってなあに?
人の体の中に入った薬物が、対する抗体ができると、次に同じ薬物が入ってきた時に免疫反応が引き起こされることがあります。それが薬物アレルギーであり、薬物過敏症のひとつです。
薬物アレルギーの症状
薬物アレルギーとして最も多い症状は皮膚症状であり、薬疹と呼ばれます。薬疹は軽症のものから重症のものまでさまざまです。また、呼吸器症状や循環器症状があらわれたり、検査によって肝臓や腎臓、血液の障害などが見つかることもあります。
薬物アレルギーの中でもアナフィラキシーは命にかかわる危険な状態であり、注意が必要です。
アナフィラキシーにかかわる薬物とは
抗菌薬や解熱鎮痛薬といった私たちに身近な薬物によってアナフィラキシーが引き起こされることがあります。通常の量を服用したにもかかわらず異常な症状があらわれた時には薬物アレルギーを疑います。また、麻酔薬や生物学的製剤などもアナフィラキシーの原因となりえます。
アナフィラキシーを引き起こす主な薬物
- 抗菌薬(β-ラクタム系、ニューキノロン系など)
- 解熱鎮痛剤(NSAIDsなど)
- 抗腫瘍薬(白金製剤やタキサン系薬など)
- 局所麻酔薬
- 筋弛緩薬
- 造影剤
- 輸血製剤など
- 生物学的製剤
- 減感作療法(アレルゲン免疫療法)
一般社団法人日本アレルギー学会 作成:アレルギー総合ガイドライン2019(協和企画)より一部改変
食物や蜂毒によるものなど多くのアナフィラキシーに“IgE抗体”がかかわっているのに対して、薬物によるアナフィラキシーはIgEがかかわらない機序でも引き起こされます。
薬物アレルギーの対策
最初は軽症に思えた薬物アレルギーが重症化することもあるため、薬物アレルギーを疑った場合にはすぐに医師や薬剤師に相談してください。
また、少しでも薬物アレルギーかな?と思ったら、そのお薬の名前を「お薬手帳」に記録しておき、次に病院にかかった時にそのことを医師や薬剤師に伝えましょう。
ご家族に起こった薬物アレルギーがあなたにも起こる可能性がありますので同様に記録しておくとよいでしょう。