原因別アナフィラキシー
|食物アレルギー
アレルギーの原因となる食物は年齢によって大きく異なります。乳幼児の食物アレルギーの主な原因食物は、鶏卵、牛乳、小麦ですが、学童期以降になると甲殻類や果物類、小麦などが原因となります。食物アレルギーの原因と症状について解説します。
監修
昭和医科大学 医学部 小児科学講座
教授 今井 孝成 先生
即時型食物アレルギーは、原因となる食物を摂取して2時間以内になんらかの症状があらわれることが特徴です。
体のさまざまな部位に以下のような症状があらわれ、急に悪化することがあります。
特に強い「呼吸器症状」、強い「消化器症状」、「全身症状」がみられた場合は、自己投与可能なアドレナリン製剤(アナフィラキシー補助治療剤)の使用や救急要請など
迅速な対応が必要となります。
ここでは、どのような症状があらわれるのかを確認しましょう。
即時型食物アレルギーの症状でもっとも多く、じんましんやかゆみ、赤みなどがみられます。また、口の中がイガイガしたり、唇や口の中、まぶたが腫れたりするなどの症状があらわれます。外見的にはわかりませんが、のどの粘膜も腫れる可能性があります。
皮膚症状はほとんどの患者さんでみられることから、食物アレルギーを疑うきっかけになりますが、皮膚症状があらわれない場合もあるため、皮膚症状がなくてもアレルギー反応を
否定してはいけません。
くしゃみやせき、呼吸困難、ゼーゼー、ヒューヒューという笛の鳴るような音(ぜん鳴)がみられます。
また、のどの粘膜が腫れて気道が狭くなることで、イヌやオットセイが吠えるような咳、声がれ、声が出なくなるなどの症状があらわれることがあります。
さらに進行すると窒息する可能性もあり、迅速な対応が求められます。
腹痛や吐き気、嘔吐、下痢などの症状がみられ、その程度はさまざまです。
元気があきらかに無くなったり、口数がすくなくなったり、横になりたがったり、進行すると意識がもうろうとしたり、脈の乱れや血圧低下などの症状がみられたりします。
全身性の皮膚粘膜症状に、強い呼吸器症状(呼吸困難、喘鳴など)や強い消化器症状(強い腹痛、繰り返す嘔吐など)、全身症状のいずれか1つ以上が急速にあらわれるアレルギー
反応がアナフィラキシーです。特に、血圧低下やそれにともなって意識を失うなどの状態はショックと位置づけられ、命にかかわる危険な症状です。
アナフィラキシーの多くは全身性の皮膚粘膜症状を伴いますが、一部皮膚粘膜症状を伴わない場合もあります。この場合、急激な全身症状、呼吸器症状(呼吸困難、喘鳴)、喉の症状(喘鳴、声が変わるなど)だけであっても、アレルゲンに曝露された、もしくは曝露された可能性のある状況では、アナフィラキシーと考えて対応する必要があります。
参考文献
本サイトに掲載された健康情報は啓発を目的としたものであり医師等のヘルスケアプロバイダーに対する相談に取って代わるものではありません。
患者さんの治療に関しては、個々の特性を考慮し医師等のヘルスケアプロバイダーと相談の上決定すべきものです。