原因別アナフィラキシー
|食物アレルギー
|代表的な食物アレルゲン
「果物・野菜」によるアレルギーの多くは花粉症と関係があります。また、ラテックスアレルギーの場合、果物がアナフィラキシーの
引き金になることもあります。その特徴や日々の食生活において
気をつけておきたいポイントを解説します。
監修
昭和医科大学 医学部 小児科学講座
教授 今井 孝成 先生
果物や野菜、特に果物アレルギーは、乳幼児期に即時型、学童期以降に花粉-食物アレルギー症候群として発症することが
多く、一部の患者にラテックス-フルーツ症候群を発症します。
また、最近になって果物を原因とする食物依存性運動誘発
アナフィラキシーが増えています1)。
花粉-食物アレルギー症候群とは、特定の花粉(ハンノキ科やブタクサが多い)にアレルギーを持つ人が、植物性食物
(果物・野菜・豆乳など)を食べた際にアレルギー症状を来す病態です2)。
症状は食べた直後に口の中やのどの違和感を
強く感じますが、多くはそれ以上の症状はあらわれません。
また加熱など加工すると症状があらわれなくなります。しかしPFASであっても、ときにアナフィラキシーに進展することがあり、注意が必要です。
花粉の原因アレルゲンと果物・野菜の原因アレルゲンの構造が類似していることで、発症してくることがわかっています。
特定の花粉と関連のある果物・野菜の組み合わせは表の通りです。ハンノキ、シラカンバ花粉症の20~40%程度がリンゴやモモなどのバラ科果物による花粉-食物アレルギーを合併すると言われています。
一般社団法人日本小児アレルギー学会食物アレルギー
委員会.食物アレルギービジュアルブック2023, p45, 2023年,
協和企画, 東京より転載
一般的に耐性を獲得する(治る)ことは少ないと考えられています。
原因食物の摂取を避けることが基本となります。一方で、PFASの原因アレルゲンは、消化や熱でタンパク質の構造が崩れ
アレルギーを起こしにくくなるため、ジャムや缶詰などの加熱食品は症状なく食べられることが多いです。ただし果物・野菜
アレルギーであっても即時型の場合は、ほかのアレルゲンと同様に加熱加工の影響は受けず、完全除去が推奨されます。
ラテックス-フルーツ症候群とは、ラテックス(天然ゴム)にアレルギーのある人が、特定の果物を食べた際にアレルギー
症状を来す病態です3)。
ラテックス(天然ゴム)アレルゲンと一部の果物アレルゲンはタンパク質の構造が似通っています。
このためラテックス
(天然ゴム)にアレルギーを持つ人がバナナ、アボカド、クリ、キウイフルーツなどを食べることで症状があらわれます。
時にアナフィラキシーに至ることがあり、注意が必要です。
原因食物およびその加工食品を避けます。PFASと異なり、加熱することで食べられるようになることはありません。
参考文献
本サイトに掲載された健康情報は啓発を目的としたものであり医師等のヘルスケアプロバイダーに対する相談に取って代わるものではありません。
患者さんの治療に関しては、個々の特性を考慮し医師等のヘルスケアプロバイダーと相談の上決定すべきものです。